くすのきCS決勝戦:dotto vs. いつき
決勝戦
dotto v.s. いつき
今になって思うと、この2人の対戦はGP5thベスト16、無尽蔵のサブウェポンvsしあを思い起こす。
かつて同じ香川という地でデュエルマスターズをしていた2人が、GPでは大きな区切りとなるベスト8を賭けて争う対決。
そして、この場ではdottoといつきも似たような立場にある。
「昔、摂津のカードショップで一緒にデュエルロードに出ていたんですよ」
デュエ祭の前身である公認店舗大会、デュエルロード。
そこで顔なじみだったという2人。よく決勝の舞台で顔を合わせたこともあっただろう。
予選5回戦でフィーチャーしたアリゲーターも同ショップを主戦場としており、彼も加えて当時を懐かしむ話題に花を咲かせる。
くすのきCSの決勝卓は、そうとは思えないほど賑やかな場になった。
だが、ひとたび試合が始めると互いに真剣な面持ちとなる。
方や本日全勝、4週連続優勝がかかった"魔王"dotto。
方や初戦負けからの全勝、いわゆる「サブマリン」でここまで勝ち進んだ勢いに乗るいつき。
2人の白緑メタリカ使いが、頂点を賭けた戦いに向かう。
【Game1】先攻:dotto
予選1位のdottoが先攻。
後手のいつきが1ターン目に《ベイBジャック》、dottoが2ターン目に《一番隊 クリスタ》を召喚。
dottoは3ターン目《龍装者 バーナイン》と理想的な立ち上がり。いつきは《絶対の畏れ 防鎧》を展開する。
dottoの4ターン目、《未来設計図》から《防鎧》を加え、これをそのまま召喚してエンド。《バーナイン》を着実に起動させる。
いつきの4ターン目、《ダイヤモンド・ソード》をセットしての《クリスタ》、《防鎧》、そして《ジャスト・ラビリンス》。殴り返しを警戒し《クリスタ》以外をタップ、3ドロー。
このターンセットされた《ソード》を見てdottoも首を傾げる。今まで何人もの対戦相手を凍り付けた《予言者マリエル》はいつきには通用しないということだ。
dottoの5ターン目、ついに《ベイBジャック》をキャスト！
そして3マナ払って追加の軽減となる《秘精甲蟲メタルバグ》を召喚し、1マナで《奇石 マクーロ》を召喚。《ラビリンス》を回収し、そのまま使用して3ドロー。
2コストで追加の《バーナイン》を展開、そして《クリスタ》を召喚、3軽減からの《バーナイン》3枚目！
3軽減《バーナイン》3枚。メタリカが回り切るには十分すぎる盤面を形成したdotto。
だが、肝心の使えるマナが2枚しかない。このままでは《陰陽の舞》を上手く使わないとターンを返すことになる。
が、ここで不可能を可能にするカードが《メタルバグ》。
1マナで《ソルハバキ》を召喚。
自身の分と効果でのマナアンタップにより、実質的に使えるマナを1枚プラス！
従来のメタリカには今までなかった動きだ。
これによりマナを3まで回復させ、《攻守の天秤》圏内に入ったdotto。
そのままデッキを軽快に回し、《防鎧》のケアとなる《逆転のオーロラ》。
あとはこのCSで嫌というほど見てきた光景、語るべきことは少ない。
1分ほど後、《無限銀河 ジ・エンド・オブ・ユニバース》が着地してGame2に移行した。
【Game2】先攻:いつき
負け先により先攻はいつき。
お互いに2ターン目《クリスタ》でスタート。いつきは《クリスタ》2体目と《マクーロ》を展開し、《未来設計図》を回収してエンド。
対してdottoは《クリスタ》2体目、さらに《防鎧》をキャスト。相手の《マルハヴァン》に対して牽制できた分一歩リードできた形か。
いつきの4ターン目は2マナ《バーナイン》、そして《未来設計図》で《バーナイン》を回収する動き。次ターン以降のリソースが確保された格好だ。
それを見たdottoは少考し、《ラビリンス》。
盤面を3枚タップし、後続を確保しにいく。タップされた《クリスタ》を守るべく《デスマッチ・ビートル》も召喚。
いつきは思い切って1枚目の《ジャック》をマナに埋め、《バーナイン》2枚目、《クリスタ》で4ドロー…
ここで《ジャック》を引き当てた！デッキが回り始める！
《ソルハバキ》から《ラビリンス》でドローを重ねる。
大量の《クリスタ》と《バーナイン》が盤面に並び、《逆転のオーロラ》で《防鎧》圏外に逃れる。
あとは先のゲームと同じく、盤面に17体が並んでいつきの場には無限銀河。
勝負は3本目に委ねられた。
【Game3】先攻:dotto
「3本目だけじゃんけんにならんかな～」と軽口を叩くいつき。
くすのきCSでは3本目も負け先なので、もちろん先攻はdottoとなる。
デュエルマスターズの常として、同型で重要になるのが先攻後攻。それは白緑メタリカのミラーマッチでも同じである。
その定石通りとなるのか、それともいつきがひっくり返すのか。
泣いても笑っても最後の勝負。
お互いの全力がぶつかり合う、最高峰の白緑メタリカミラーが始まる。
「嘘やろそれ～！！」
dottoの1ターン目《ベイBジャック》を見たいつきの叫びで、最終ゲームは幕を開けた。
とはいえいつきも返しに《ベイBジャック》を展開し、後手とはいえ悪くない展開。
dottoはさらに《クリスタ》を追加！
いつき、ドローを見て「そこで引きたくはなかった」といった素振りを見せる。
考えた末…《バーナイン》をセットし、《クリスタ》2体を展開！
dotto、3ターン目はなんと《バーナイン》！
本日最後のゲームにして鬼神のごとき引きを見せるが「これむずいな…」とポツリ。
いつきのタップされた《クリスタ》を相討ちするかどうかで悩んでいる。
いつきの減速か、自らの加速か…
考えた末…答えは減速。《クリスタ》相討ちを選択。
2ターン目に《クリスタ》2枚《バーナイン》2枚が揃ってしまい、マナセットに苦心したいつき。
3ターン目に出すカードはもちろん先ほどセットした《バーナイン》！
《クリスタ》が残った分いつきがペースを確保。
先の《クリスタ》2体召喚が上手くハマり、回ったメタリカミラーでは珍しく先手後手が入れ替わった。
だがdottoも考えなしに《クリスタ》相討ちを選択したわけじゃない。
《ソルハバキ》を出した後《ラビリンス》！失ったリソースを一気に回復。
自分も強い動きをしたはずのいつきの叫びが止まらない。
しかし依然入れ替わった先手後手を覆すほどのアドバンテージを得たわけではない。
そこでdottoが選んだ選択肢は、徹底した相手の減速。
残った3マナで《天秤》をアンタップモードで使用。
起き上がった《ジャック》を攻撃に向かわせ、いつきの《ジャック》と相討ち。
後手後手になっているように見えるが、目先の懸念事項であったいつきの《ジャック》には対処できた。
《ジャック》がなくなったことで速度が大きく削がれたいつきだが、《クリスタ》《バーナイン》を揃えた盤面。主導権はまだ保持している。
未来設計図で《防鎧》をサーチし、そのまま召喚。《マルハヴァン》を牽制する。
dottoは《ラビリンス》で引いたであろう《ジャック》を召喚。《防鎧》を出してワンドローして終了。
これで盤面だけを見るならdottoには《ジャック》、いつきには《クリスタ》があるだけでほぼ同じ。状況はイーブンに戻ったと言えよう。
いつきはドローを見るなり「それじゃない…」とぼやく。
《マクーロ》を出し、1ドローの後中身を確認すると「ああ～！！」と咆哮。
後に聞いてみると「見た中に、欲しかった《ジャック》と《ソルハバキ》があった」と非常に苦しい内容だった模様。
出せない《マルハヴァン》を回収し、《防鎧》2枚目をキャストしエンド。
返しのdottoは2枚目の《バーナイン》、そして先ほど失った《クリスタ》のキャストに成功！
《ジャック》、1軽減、2枚の《バーナイン》と揃った盤面からどこまで展開できるか。
大事な場面、dottoは今一度熟考する。
まずは《ソルハバキ》で《天秤》を回収。今大会で台風の目となった《メタルバグ》はマナゾーンに置かれ見守る係。
ここでdottoが「ギャンブルしようかな…」と呟く。通せば勝てる筋があるようだ、いつきは《オーロラ》からの《蛇手の親分ゴエモンキー!》と推測するが…
dotto、ギャンブルに出る！
盤面を一気にタップしての《逆転のオーロラ》！
「盾に《天秤》と《ソルハバキ》が全部埋まってなかったら勝ちだったんですよ」
マナに置かれたカードの中には…《天秤》の姿はない！dottoは「よし」と勝ちを確信。
決定打としてその手から放たれたのは、大量にタップされた盤面をふんだんに使った《ラビリンス》！！
これが7枚ドロー、一気にリソースを確保！
ドローの内容が極端に悪くなければ回り始めるdottoの盤面。
そして、dottoが2ヶ月ほどにわたって従えてきた鉱石軍団たちが、一気に盤面を埋め尽くしていく。
《オーロラ》は撃ち、盾落ちも《防鎧》も怖くない。
残りの山札は1枚。《マクーロ》でボトムの位置も確認済み。
恐れるものがなくなったdotto、覇道を突き進むようにメタリカを順々に出していく。
17体をアンタップする《天秤》を見た瞬間、いつきはかつての戦友を称えるように手を差し出す。
そうして辿りついた、4週連続の優勝。
Winner:dotto
シーソーゲームとなったGame3を制し、一息ついたdotto。
この結果に1番驚いたのは、間違いなく「出来すぎ」と謙遜する本人自身。
破竹の勢い、というよりも「さも当然」のように勝ってしまう”魔王”。
メタリカを従える魔王を上位卓で見る期間は、まだしばらく続くだろう。
第1回くすのきCS、チャンピオンはdotto！！おめでとう！！
