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第5回DM京都CS 決勝戦:夢現 vs. フェアリー

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 第5回DM京都CS
 決勝戦:夢現 vs. フェアリー

 

 


「赤青《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》は、本当に強いのか?」

 これがまさしく第5回京都CS、最終デュエルのテーマである。


 ZweiLanceと同様、旧知の間柄である夢現とフェアリー。決勝前だというのに談笑が絶えない。
 だが、この2人の心はおそらく目先の決勝だけになかっただろう。
 それはもちろん2日後に迫ったDMGP7thだ。

 フェアリーにとって今日はGPの前哨戦である。
 GP直前の混沌とした2ブロック環境を確認する意味も含めて、本命でない黒単デスザークを使用。
 それが本人のプレイスキルも相まって、望外ともいえる決勝進出。この結果自体には喜びつつも、彼は決勝まで進んだことで気が抜けなくなった。
 それは決勝まで進んだことよりも、大きな要因がある。

 準決勝、そして決勝。
 今まで全く見たことのない、新弾のカードを使用した新しいアーキタイプ
 全く異なるグループによって調整されたため枚数配分には大きな差があるものの、基盤は全く同じ。そんなアーキタイプが最後の2回連続で目の前に座ることとなったからだ。

 それが、赤青《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》。

 双極編第3弾環境のキーカード、《異端流し オニカマス》を使うことに長けるビートダウンデッキ。
 デッキ名を冠する《“必駆”蛮触礼亞》《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》の突破力は言わずもがな、コンボが決まらなくとも《異端流し オニカマス》のアンタッチャブルと《“轟轟轟“ブランド》の展開力を生かした押し込みプランも取れる。
 デッキのポテンシャルは今日の結果を見るだけで十分わかるだろう。

 何より、フェアリーがこのデッキの強さを見定めなければならない最大の理由があった。
 それは、彼がGPで持ち込もうとしていたシータ《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》に非常によく似たコンセプトだったからだ。
 対面によっては《霞み妖精ジャスミン》でビートダウンをするというコンセプトのデッキを組み上げていたが、赤青《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》のビートプランは《異端流し オニカマス》が担う。ビートプランの側面だけ見れば、どちらが強力かなんて語るまでもない。

 自分が似たコンセプトのデッキを組んでいたこともあり、理論的な強さの裏付けはある程度取れていた。
 だからこそ、問わなければならない。

「赤青《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》は、本当に強いのか?」

 その問いに答えるのは夢現だ。
 彼にとって今日は前哨戦でもあり、調整の場でもあった。練り上げた構築の手応えを確認するとともに、環境を確認して微調整を行うため。
 手応えという意味では完璧だった。GP前としては十分すぎるであろう決勝進出。
 完璧すぎたせいで眼前のフェアリーに手の内を見せることになったが、些細な問題だろう。2日後への自信は深まるばかりだ。

 最後の1戦。相手は活動地域は離れていても、昔からその実力を認めるフェアリー。
 GPまで続くであろう自問自答に、自信を持って答えを出せるときが来た。

「赤青《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》は、本当に強いのか?」

 GP直前、2人の強豪が抱いた1つの大きな疑問。
 十数分後。盤上に並べられたカードたちが、その答えを示してくれた。


 先攻:フェアリー

 じゃんけんに命を賭けた2人の対戦、軍配はフェアリーに上がる。

 フェアリーは《堕魔 ドゥリンリ》、夢現は《勇愛の天秤》をドローモードで起動とお互い好調なスタート。
 3ターン目は《堕魔 グリギャン》。さらにエンド時《堕魔 ドゥリンリ》効果で《卍 デ・スザーク 卍 》に辿り着く。

 早期《卍 デ・スザーク 卍 》で勝負が決まってしまうこともあり得たが、夢現はそれを許さない。
 フェアリーの手札が2枚であることを確認しつつ、B・A・S《“必駆”蛮触礼亞》からの《“乱振”舞神 G・W・D》で2面除去しつつ1枚ブレイク。次ターンの《卍 デ・スザーク 卍》に待ったをかける。

 4ターン目のフェアリー、《堕魔 ヴォガイガ》をプレイできれば最高だったがここは《堕魔 ヴォーミラ》。墓地を肥やしつつ、夢現に除去を要求する。
 夢現はしっかり2枚目の《“乱振”舞神 G・W・D》を持っており、さらにシールド1枚ブレイク。フェアリーの場に魔道具が残らない盤面が続く。

 ものの、続くターンは5マナ。2枚のブレイクを受けた手札には、すでに門を開く鍵が揃っていた。

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 《堕魔 ドゥシーザ》《堕魔 グリナイブ》からの《卍 デ・スザーク 卍 》降臨。
 どこまでいっても夢現のデッキは《卍 デ・スザーク 卍》がいる限り何もできないビートダウン。これの擁立がお互いにとってのターニングポイントとなる。

 《卍 デ・スザーク 卍 》を受けた夢現の選択は…リソース確保。《トリプル・ブレイン》でカードを補充。
 対するフェアリーは早急に詰み盤面を作りあげなければならない。《堕魔 ヴォーミラ》、墓地から《堕魔 ドゥリンリ》で7ターン目の布石を作る。
 《堕魔 ヴォガイガ》を引けていないフェアリーは、この《卍 デ・スザーク 卍》による時間稼ぎと《堕魔 ヴォーミラ》によるリソース管理が生命線。その手札は0枚。

 そう、手札は0枚。
 その瞬間を待っていた。

 《堕魔 ヴォガイガ》を引けないフェアリー。それを見て、焦らず《トリプル・ブレイン》を撃ち込んだ夢現
 後続を確保していないなら、《卍 デ・スザーク 卍》と《堕魔 ヴォーミラ》さえ除去してしまえば何もできなくなる。黒単デスザークとはそういうデッキだ。

 だからこそ分厚くした手札には、逆転の一手がしっかり握られていた。

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 それは……3マナB・A・S《“必駆”蛮触礼亞》からの《“轟轟轟“ブランド》。
 まずは《“必駆”蛮触礼亞》バトル効果で《卍 デ・スザーク 卍》と相討ち。
 さらに《“轟轟轟“ブランド》効果でワンドローからの2枚をディスカード。《堕魔 ヴォーミラ》と《堕魔 ドゥリンリ》が破壊される……

 この一連の動きが意味することは…フェアリーのリソースが全て奪い取られたということだ。

 さらに《異端流し オニカマス》を差し向けてエンド。
 盤面は逆転して夢現優勢、残り3枚のシールドにプレッシャーをかける。

 フェアリーは増えた墓地を利用し、《卍月 ガ・リュザーク 卍》降臨。いったん夢現のマナに制限をかける。
 が、フェアリーの手札はドローした1枚のみ。これをチャージしてエンドする…

 そして、この段階で夢現には1つの勝ち筋を見据えていた。
 3マナをアンタップした夢現はすぐにそれらをタップし、3枚の手札を全て使い切る。

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 B・A・S《“必駆”蛮触礼亞》から《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》!!
 《“乱振”舞神 G・W・D》によって3枚に落ち込んだシールド。ここに《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》と《異端流し オニカマス》が突っ込む!!

 殴り順には気を付けた。《卍月 ガ・リュザーク 卍/卍・獄・殺》はかなりの枚数が見えているし、負け筋は《堕魔 ドゥグラス》かSST《撃髄医 スパイナー》だけ。
 逆に言えばそれらのトリガーがあれば話は変わってくる。日本きっての勝負師の目から火は消えない。

 最後のシールドは祈るように捲りあげられ……

 

 


「よしっ」

 その声の主は、夢現
 GPの前哨戦で、一足先に頂点に上り詰めた男である。

 

 CHAMPION:夢現!!


 かくして、彼らの問いに対して夢現のカードたちはこれ以上ない結果で解答を出した。
「赤青《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》は、強い。」

 翌日、フェアリーと話す機会があった。
 当然話題は昨日の決勝について。使うかもしれないというそのデッキのために、筆者ガイドによる大阪観光を受けながら《南海の捜索者 モルガラ/トリプル・ブレイン》を集めまわった。
 そして。

 2日後、午前9時。
 GP7th最初のフィーチャーテーブルに呼ばれたのは、フェアリー。
 一足先に京都の頂点に立った夢現も対戦席に座り、デュエマ・スタートのコールを待つ。

 彼らの使用デッキは、赤青《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》だ。