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第2回はっちDMCS決勝戦:Takashi vs. Ruby

 第2回はっちDMCS
 決勝戦:Takashi vs. Ruby

 


 《オールデリート》の躍進が目立った今回のはっちDMCSだったが、もう1つだけ取り上げなければいけないデッキがある。
 青黒ハンデス。昔から形を変え続けて環境に適応してきたハンデスデッキも、今期のメタゲームには対応できず、なかなか日の目を浴びなかった。

 特にジョーカーズの《ガヨウ神》やデスザークの《卍月 ガ・リュザーク 卍/卍・獄・殺》《堕魔 ヴォーミラ》《追憶人形ラビリピト》がきつい。いくら細かなアドバンテージを取ってもそれ以上のアドバンテージを1枚で稼がれては、ハンデスデッキではどうしようもない。
 さらに《“轟轟轟“ブランド》系統の速攻や《蒼き団長 ドギラゴン剣》や《龍装艦 チェンジザ》《時の法皇 ミラダンテⅫ》…。
 多くのデッキが存在する広大な環境全てに解答を用意するのは不可能だった…

 かと思われた。この環境の切り口として敢えてハンデスを選んだ男が1人。
 それが2017年度全国大会、関西A代表として出場したTakashiである。

 不利と言われていたデスザークは《ポクチンちん》を採用して有利マッチになり、環境的にも増加中。
 苦手なジョーカーズは《“轟轟轟“ブランド》の隆盛に伴い数を減らす。
 環境トップが横一線かつ、ハンデスを苦手とするTier3レベルの地雷デッキが多数跋扈した環境。
 そして、時間がかかるが必殺となる《英知と追撃の宝剣》ロックができる時間無制限ルール。

 これら全ての要因が、Takashiの追い風となった。
 予選全勝、未だ土つかずでの決勝。本人ですらここまでの結果は予想できなかっただろう。


 それに相対するのは、準決勝でもフィーチャーしたRuby
 本人が試合前に話す通り、彼の操るタッチカラーを多数搭載した赤青バスターは間違いなく青黒ハンデスに不利がついてしまう。

 その最も太い勝ち筋は、妨害が間に合わないうちの《蒼き団長 ドギラゴン剣》。
 当然、Takashiが最後に見据えるものはそれを徹底して妨害すること。

 単純明快、だからこそ奥深い決勝戦
 長く続いた第2回はっちDMCS、最後のデュエマスタート。

 【Game1】先攻:Takashi

 予選唯一の全勝、予選1位により本戦1本目は全試合先攻のTakashi。
 決勝も幸先よく2t《特攻人形ジェニー》で《熱湯グレンニャー》を落とす。
 対して《闇鎧亜ジャック・アルカディアス》《ドンドン吸い込むナウ》を置いたRubyは《月光電人オボロカゲロウ》。手札を3枚入れ替え、続くアクションに向けて準備を整える。

 …が、手札を減らしてしまう《月光電人オボロカゲロウ》のプレイはハンデス相手に諸刃の剣。
 3枚に落ち込んだ手札にTakashiの《ブレイン・タッチ》!ハンデス連打のためRubyのリソース管理がどんどん厳しくなり、3ターン目をセットのみで終える。
 Takashiは追い打ちをかけるようにさらなる《ブレイン・タッチ》!これでRubyの手札は1枚。
 Rubyはチャージからの《ウソと盗みのエンターテイナー》を追加。これで手札が尽きたRubyはやむを得ず《月光電人オボロカゲロウ》でビートダウンを開始。
 …が、これが《クリスタル・メモリー》をトリガー。手札が切れたRubyに対し、Takashiは詰めに最適なカードを持ってくることができる。

 Takashiは《デモンズ・ライト》で《ウソと盗みのエンターテイナー》を焼き払う。
 Rubyは《熱湯グレンニャー》でワンドロー、引いたカードは出さずに《月光電人オボロカゲロウ》でシールドを減らす。
 Takashiは慌てず細かい動きでRubyの動きを縛っていく。《特攻人形ジェニー》で《ウソと盗みのエンターテイナー》落とし、《堕魔 ドゥポイズ》で《月光電人オボロカゲロウ》処理。
 Rubyはドローした《月光電人オボロカゲロウ》を置き、手札は0枚なので効果は実質ボトムのせり上げのみ。《熱湯グレンニャー》をビートに向かわせる。
 手札がなくなった赤青バスター。それはハンデス巧者であるTakashiにとって、最も調理しやすい相手とも言えるだろう。

 さあ、詰めは終盤にかかる。Takashiは6マナで《龍装艦 ゴクガ・ロイザー》!
 もはやブロッカーというだけで強烈な存在感を放つこのカードが降り立つと、元々険しかったRubyの表情には最早諦めが見える。
 トップデックした《異端流し オニカマス》を追加して、超次元呪文を一応牽制するも。

 7マナタップ。凶悪殿堂カードが、2倍となって突き刺さる。

 

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 《英知と追撃の宝剣》。《熱湯グレンニャー》をバウンスしつつ、Rubyのマナを5から1に奪い去る。
 続くターンをセットエンドで終えたRubyに対し、実質《スケルトン・バイス》である《ジェニコの知らない世界》2ハンデス
 《熱湯グレンニャー》ワンドローなどでなんとか食らいつこうとする…が、2倍《ブレイン・タッチ》で手札を全てもぎ取られ、《クリスタル・メモリー》でフィニッシュカードを2枚獲得される。

 そうして、最後の詰めとして降り立った《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》。
 頼みの綱の《異端流し オニカマス》も、避雷針として出した《単騎連射 マグナム》ごと《学校男》《堕魔 ドゥポイズ》連打に葬られる。
 もはや打つ手なし。Rubyは次のゲームへ向かうことを選択した。


 Takashi 1-0 Ruby

 

 【Game2】先攻:Ruby

 Rubyの《熱湯グレンニャー》スタートに対し、Takashiは《学校男》を当てる立ち上がり。
 以前は《プラチナ・ワルスラS》の存在により《特攻人形ジェニー》よりも優先してプレイされるべきとされていた《学校男》だが、それが殿堂となった今では有効打にはならないだろう。

 それ以上に、このターンにハンデスを撃ち込めなかったのはあまりに致命的だった。
 この時点でRubyの手札には、"アイツら"が揃っていたのだから。

 

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 赤い悪魔、《“龍装”チュリス》からの《蒼き団長 ドギラゴン剣》!!
 呼び出されるのは《音精 ラフルル》。《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》をトリガーするものの、《音精 ラフルル》の効果が綺麗に刺さる形。そのままシールドが1枚に落ち込む。

 シールド4枚破られ、一気に苦しくなったTakashi。
 とはいえ、Rubyの盤面も決して攻略不可能というわけではない。続くターンに《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》から撃つ呪文次第では容易に逆転は可能。
 ここまで全勝のTakashi。その勢いを信じて、《ブレイン・タッチ》で《“龍装”チュリス》を落として次ターンの即死はなくなった。
 《超次元ガロウズ・ホール》か《英知と追撃の宝剣》があれば…

 …あったとしても、Ruby渾身のトップデックによって全ての可能性が消え去った。

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 デッキトップから現れたのは、《Dの牢閣 メメント守神宮》!!
 その光は《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》を滅ぼし、Takashiに今大会初のダイレクトアタックを見舞い…
 その勝負を、3本目に縺れ込ませた。

 Takashi 1-1 Ruby

 

 【Game3】先攻:Takashi

 Takashiが《特攻人形ジェニー》で《“龍装”チュリス》を落とすスタート。最も痛い負け筋である3t《蒼き団長 ドギラゴン剣》を牽制する。
 TakashiはGame1のようなハンデス連打、《特攻人形ジェニー》を重ね、《ドンドン吸い込むナウ》を落とす。
 Rubyはこれに2t、3tと《熱湯グレンニャー》を連打してアドバンテージを稼ぐ。

 

 減らない手札に対してTakashiは《パクリオ》で直接回答をもぎ取りにいく。
 《月光電人オボロカゲロウ》《異端流し オニカマス》《蒼き団長 ドギラゴン剣》の手札から《蒼き団長 ドギラゴン剣》を落とし、《“龍装”チュリス》《龍装者 バルチュリス》トップからの即死を回避。

 《異端流し オニカマス》を追加したRubyは《熱湯グレンニャー》2体でビートダウンするが、すかさずの《デモンズ・ライト》、《パクリオ》による殴り返しと合わせて2体とも除去されてしまう。
 手札から有効牌を出せないRubyはパスでエンドするが、これに《ブレイン・タッチ》《特攻人形ジェニー》の2ハンデス。これでRubyの手札が枯れ果てた。
 後がなくなったRubyは《異端流し オニカマス》を追加し、アンタッチャブルを生かしてシールドを攻め立てる。1枚ブレイクするが…ここに絶望の《クリスタル・メモリー》。
 風前の灯となったRubyの残りリソースを、Takashiが丁寧に刈り取っていく。

 まずは《デモンズ・ライト》でリソースを増やし、《学校男》で《異端流し オニカマス》1体除去。
 セットエンドのRubyに対し、《学校男》でついに全ての《異端流し オニカマス》を除去。
 さらに《超次元リバイヴ・ホール》で《学校男》を回収しつつ《シルバー・ヴォルグ》でブロッカーを増やす。

 Rubyはトップから虎の子の《“龍装”チュリス》追加。
 ここにTakashiは《悪臭怪人ゴキーン》でRubyのトップを《月光電人オボロカゲロウ》に固定しつつ…《龍装艦 ゴクガ・ロイザー》!Rubyはトップの《月光電人オボロカゲロウ》を即座にマナへ。
 Takashiのアクションは《アクア・ベララー》《学校男》。《“龍装”チュリス》を破壊しつつRubyのデッキトップは下へ。

 が、ここでRubyが逆転の足掛かりになりうる《“乱振”舞神 G・W・D》をトップ!
 《龍装艦 ゴクガ・ロイザー》《アクア・ベララー》の布陣が崩壊。攻撃は《シルバー・ヴォルグ》でブロックされる。
 とはいえTakashiのリソースは潤沢、まずは《ブレイン・タッチ》《パクリオ》連打でRubyがドローしたカードを全て叩き落す。
 Rubyがトップした《闇鎧亜ジャック・アルカディアス》で《パクリオ》が墓地に送られるが、《超次元リバイヴ・ホール》で《激天下!シャチホコ・カイザー》を出しつつ《悪臭怪人ゴキーン》でRubyのトップをロック。
 《闇鎧亜ジャック・アルカディアス》のアタックを《シルバー・ヴォルグ》でブロックし、ブロッカーが消えたがお構いなし。《アクア・ベララー》から再びの《龍装艦 ゴクガ・ロイザー》。
 そして勝負を決める2倍《英知と追撃の宝剣》!トップデックは《アクア・ベララー》でケアしている!
 つまり、次のターンには《悪臭怪人ゴキーン》から再び《英知と追撃の宝剣》を撃ち込み、8マナあったRubyのマナは2マナ、いつかは0マナにまで落ち込むだろう…

 勝負の先は見えている。長く長く続いたはっちDMCSの最後が、冗長なロックじゃつまらないだろう。
 Rubyは目の前のチャンピオンに向けてその手を差し出し…

 その実力は評価され、全国大会も経験した。だが思うように結果が出せなかった。
 しかし、環境を読み切って使用した青黒ハンデスが多くの強者の隙を突き、はっちDMCSの歴史に名を刻んだ。

 それは、Takashiにとって是が非でも手にしたかった、初めてのCS優勝だった。

 CHAMPION:Takashi!!