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デュエルマスターズのカバレージ書いてます

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第5回DM京都CS 決勝3回戦:夢現 vs. ZweiLance

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 第5回DM京都CS 決勝3回戦
 夢現 vs. ZweiLance


 DMvaultは、近年デュエルマスターズの発展を語る上でもはや欠かせない存在となった。

 ネット世界でカードがなくても対戦を行えるというサービス、競技性は紙のカードに劣るものの手軽に対戦できるシステムは昔から愛好家が多い。
 特に人気なのが大会機能。勝ち上がっても内部レート上昇以外の見返りはないものの、そこで勝ち続けること自体が強さの証明となり、上位を目指すプレイヤーが後を絶たない。
 特にCSが少ない地方勢にとっては自身の実力を示せる数少ないチャンス。CSでは名前を聞かないけれどDMvaultでよく名前を聞く…といったプレイヤーも多い。

 だからだろう。
 九州で活動をする夢現と東北で活動をするZweiLanceが京都の地で相まみえるというのに、「懐かしい」という感情が先行するのは。

 両名ともに高い実力を持ち、ここ関西でもその名を知るプレイヤーは多い。最もZweiLanceはここ1年、別の要因で超がつくほどの有名プレイヤーになったが。
 そして、彼らのバックボーンはともにDMvaultにある。数年前までは精力的にvault大会に出場し、当然そこで対戦することも珍しくはなかった。
 九州に住む夢現と当時北海道に住んでいたZweiLanceが親しげに話しているのも、当時のことがあってだろう。

 さて、話は変わってこの2人は予選でも対戦している。
 そのときはZweiLanceが勝ったというが「次はどうだか…」と不安げな表情も残す。
 お互いのデッキは、夢現が当時知れ渡っていなかった赤青《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》。ZweiLanceは今期の相棒たる黒単デスザーク。

 地方の強豪が刃を交える、GP前らしいマッチアップ。
 ベスト4へと道を切り拓くのは、果たして。


 先攻:夢現

 早速後攻ZweiLanceがハンドシャッフル中に《堕魔 グリギャン》を落とすハプニングがありお互いに苦笑が漏れる。「お互いデッキ知ってるし別にいいよw」とは本人の弁。いいのか…
 そんなZweiLanceの勇み足とは裏腹に、序盤は少しゆっくりな立ち上がり。お互い2ターン目をチャージのみで終える。

 先攻夢現の3ターン目、《南海の捜索者 モルガラ》を召喚してエンド。
 対してZweiLance、マナにここまで2枚の《堕魔 グリギャン》を置きつつ3枚目の《堕魔 グリギャン》を召喚。3ターン初動ながらお互いに引きたいものは引けている。

 であれば、先攻が有利となるのがデュエル・マスターズの性。
 さらに4ターン目の手札を見た夢現には、とある”覚悟”ができていた。

 ぽつり、宣言する。

 「神になろうかね」

 

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 神降臨の儀式は、3マナをタップしながらの《“必駆”蛮触礼亞》から始まった。

 弾となる《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》を捨てる。ということは、呼び出されるはもちろん《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》。
 《南海の捜索者 モルガラ》と合わせてシールドを3枚ブレイク。トリガーはなく、夢現の追加ターン。
 とはいえ、《“必駆”蛮触礼亞》をB・A・Sで唱えたそのリソースはあまりに乏しい。盤面の《南海の捜索者 モルガラ》だけでは到底決めきれない。

 だからこそ、彼は「神になる」と決めたのだ。
 神とは全能の存在。全能の存在であれば、このドローでデッキに眠る解答を引く程度の奇跡は朝飯前。

 その祈りは、叫びに変わる。

 「轟轟轟!!」

 

 ZweiLanceの目の前にいたのは………神。

 

 ……ではなく、祈りむなしく《“轟轟轟“ブランド》を引けなかった夢現だった。

 とはいえ攻勢を崩すわけにはいかない。引いたカードはそのままキープしつつ、《南海の捜索者 モルガラ》でアタックしエンド。
 夢現のデッキにとって、この小刻みなアタックこそが対デスザークへの鍵となる。

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 《南海の捜索者 モルガラ》はラスト・バーストで《トリプル・ブレイン》を放つ新カード。
 このカードを破壊でしか対処できず、また《トリプル・ブレイン》のリソース獲得もきついデスザークにとって非常に厄介なアタッカーなのだ。
 それに拍車をかけているのがアンブロッカブル能力。《堕魔 グリギャン》を並べたところでお構いなしにシールドを削ってくるこのカード、どうしても戦闘破壊など何らかのアプローチをしかけねばならない。
 本来デスザークにとって中速ビートダウンは言わばお客様。しかし、夢現が練り上げてきた赤青《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》には頭を悩ませることとなる。

 考えた末、ZweiLanceの選択は《堕魔 ドゥリンリ》2枚を繰り出しつつ《卍 デ・スザーク 卍 》!
 《トリプル・ブレイン》は許すものの、《卍 デ・スザーク 卍 》という強烈なプレッシャーをかけながらのエンド。引いたカードを見た夢現は苦い溜息をつく。

 3マナをタップして考え…《南海の捜索者 モルガラ》召喚でエンド。
 《卍 デ・スザーク 卍 》が立ったとはいえ《“必駆”蛮触礼亞》などで逆転の恐れがある。ZweiLanceにとって、ここからは一層慎重なプレイが要求される。
 《堕魔 ヴォーミラ》を召喚しつつ、《卍 デ・スザーク 卍 》で《南海の捜索者 モルガラ》を戦闘破壊。
 効果で再び《トリプル・ブレイン》が誘発。一挙7枚にまで膨れ上がった手札を。

 大量の手札を得た夢現、プレイの選択肢はかなり広い。
 逆転の芽を探し、手札を慎重に吟味していく。

 まず《勇愛の天秤》。捨てるカードを考えて…《“乱振”舞神 G・W・D》をディスカードし2ドロー。
 ここで2回目となる3マナ《“必駆”蛮触礼亞》《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》!!
 追加打点は用意できないものの、《卍 デ・スザーク 卍 》を対処しつつ追加ターンを得た夢現。力強くドローするが、そこからさらに考え始める。

 まずは《勇愛の天秤》。《南海の捜索者 モルガラ》を捨てて2ドロー。
 そしてこれ以外の選択肢を失ったかのように、4マナで《“乱振”舞神 G・W・D》を勢いよく出して《堕魔 ヴォーミラ》を破壊しつつ、ZweiLanceの最後のシールドをブレイク。

 シールドはなくなったが、その分リソースは潤沢のZweiLance。
 とはいえすぐに蓋をしないとスピードアタッカー1枚から負けてしまう。《堕魔 ヴォーミラ》から《堕魔 ドゥリンリ》を繰り出し、《卍 デ・スザーク 卍》、さらには《卍月 ガ・リュザーク 卍》。
 マナチャージと合わせて4マナしか使えない夢現、《ドンドン吸い込むナウ》で《卍月 ガ・リュザーク 卍》を戻そうとするも青しか見えず、仕方なく《ドンドン吸い込むナウ》を回収。

 無論、その隙を見逃すZweiLanceではない。
 ついに現れた《追憶人形ラビリピト》。《堕魔 ドゥポイズ》で《卍月 ガ・リュザーク 卍》を墓地に送り、通称「ラビガリュ」完成。エンド時に潤沢だった夢現の手札を全て奪い去る。

 ここからは一刻も早く詰将棋を行うZweiLance。《堕魔 ヴォガイガ》、回収した《堕魔 ヴォガイガ》から《堕魔 ヴォーミラ》を回収。
 夢現はトップした《“乱振”舞神 G・W・D》で《追憶人形ラビリピト》を破壊。
 するとお構いなしといわんばかりに《堕魔 ヴォーミラ》《堕魔 ドゥポイズ》《堕魔 ヴォーミラ》《堕魔 ヴォーミラ》で次ターン展開の布石を作る。
 
 夢現も粘る。《“乱振”舞神 G・W・D》から引いた《終末の時計 ザ・クロック》。
 ZweiLanceはこれを《堕魔 グリナイブ》《堕魔 グリギャン》を配備しながらの戦闘破壊で難を逃れ。
 夢現がトップ《“轟轟轟“ブランド》を出したところで……


 この攻防に終わりが来てしまった。
 20分。制限時間である。
 京都CSではターンプレイヤーから数えて0、1ターンのエクストラターンが与えられ、シールド差で決着をつける。
 
 まず0ターン。夢現にできることは《“轟轟轟“ブランド》でできるだけクリーチャーを破壊することのみ。
 1ターン。打点を崩され、かつ眼前の《“轟轟轟“ブランド》に対処できないZweiLanceにできることは…ただ、殴るのみ。
 当然全てのクリーチャーが攻撃に参加するが、最後のシールドから《終末の時計 ザ・クロック》。
 追加ターン終了。お互いシールドはなく、同数の場合……

 ダイレクトアタックが決まるまでの、サドンデスとなる。

 思わず「はぁ!?」と声が出るZweiLance。それもそのはず、彼が従えるブロッカーは《堕魔 グリギャン》1枚のみ。
 序盤に手札から思わず零してしまうほど引いてしまい、マナに埋めざるを得なかった。その伏線が20分後に最悪の形で回収されてしまい……

 望んだ形とは違っただろう。それでも序盤に神を目指した彼の攻めは、結果としてZweiLanceのシールドを全て剥がした。
 あのとき願った《“轟轟轟“ブランド》、そしてシールドで待っていた《終末の時計 ザ・クロック》のアタックによって。

 夢現が、準決勝へと駒を進めた。

 WINNER:夢現